この記事では基督教について解説しています。
洗礼を受けて教会員になることは、
単に会員として登録されるだけでなく、神の家族の一員になることでもある。
訪問者とは異なり、教会に対して責任を背負うことになる。
１．享受する側から、献身する側へと回る。
（この点が無意識のうちに勘違いしやすい部分である）
２．献金が「完全自由」から「義務」に変わる。
献金箱に金銭を入れることは、
「神様から頂いた恵みに感謝して捧げる」という宗教的な意味がある。
３．地域社会との関係が変わる。良くも悪くも。
４．仏壇などを設置していた場合、処分しなければならない場合がある。
５．檀家制度に加入していた場合、脱会しなければならない。
（これが面倒で、かつ辛いことである）
６．葬式と墓の問題が生じる可能性がある。
［１］について。
神の家族の一員になることは、イエスの弟子になるという重要な意味がある。
ここでいう「弟子」とは、聖書に登場する宣教者のみならず、
過去に洗礼を受けて神のために働き、天に召されていった信徒も含まれる。
世代を超えて受け継がれていった神の教えを継承していくことでもある。
訪問者とは異なり、奉仕者として各種行事に関わる場面が少なからず出てくるが、
ここにも神への謙遜を表すという重要な意味があるので、
やむを得ない事由がない限り、断ることができない。
日曜礼拝では宣教師が聖書を通して神の教えを説く場面があるが、
信徒はただ聞くだけでなく、語られている言葉を自分のこととして捉え、教会の外でも反映させていく。
教会の中だけでなく、一般社会においても神の教えを実践することが求められるようになる。
［２］について。
教会員になると、座上献金だけでなく月定献金などにも金銭を捧げる場面が出てくるようになる。
献金は３つのグループに分類される。
Ａ．名前が書かれていない献金（座上献金・リーストコイン など）
献金箱または封筒に金銭を入れる。
この種の献金は訪問者でも捧げることが可能。
金額については、お気持ち程度でもよく、
１００円程度でも特に問題はない。
Ｂ．名前が書かれた献金①
（イースター献金・夏季特別献金 など）
この種の献金は封筒に入れることがほとんどである。
訪問者でも捧げることができるか否かは各教会の方針による。
金額については、お気持ち程度でもよく、
１００円程度でも特に問題はない。
Ｃ．名前が書かれた献金②
（月定献金・会堂維持献金 など）
この種の献金は封筒に入れることがほとんどで、
教会員のみが捧げることができる。
金額については特に決まりはないものの、
教会の運営に関わる重要なものなので、
毎回１００円だけを入れるというのは教会に対して失礼なことであり、慎むべきである。
捧げる金額は人によってバラツキが大きいが、
１０００円～５０００円程度が常識的とされる。
教会は信徒の献金によって運営されており、外部から資金を募ったりはしない。
信徒は神の家族の一員であり、それなりの自覚が求められるのである。
やむを得ない理由もないのに変にケチったり無視したりしていると、
思わぬ所で、思わぬ形で、そのツケを払うことになるかもしれない。
教会員が金銭の入った献金箱を教壇の前に置き、祈りを捧げる教派もあるが、
あれは訪問者向けの演技ではなく、その人の信仰を表したものである。
「献金祈祷」は当番制で、輪番で回ってくる。
お願いされた際には、可能な限り応じなければならない。
御座い天なる父なる神様。
本日も礼拝を捧げることができましたことを感謝いたします。
私たちは日ごろ神様から頂いている感謝のしるしとして献金をお捧げします。
どうか神の御用のために用いてください。
本日、出席することが叶わない人たちにも恵みと祝福がありますように。
尊いイエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン。
これは献金祈祷の際に語られる祈りの言葉の一例であるが、
実際には長々と語る信徒が多い。
［３］について。
都市部に居住している人にとっては軽微な影響に止まることが多いが、
地方の場合、仏事や神事などが行われている地域があり、輪番で回ってくることも少なくない。
洗礼を受けることを考えている人にとって、悩ましく、面倒な問題である。
教会員になると、これらの行事への参加を断らざるを得ない場面が出てくるようになる。
この件に関しては、宗教色の度合いに応じて個別に判断しなければならない。
地域の行事を断り続けた結果、地域との関係がうまくいかなくなり、悩んだ信徒もいると聞いたことがあるので、そう簡単な話ではない。
［４・５］について。
意外に思う人も多いかもしれないが、
信徒の自宅に仏壇などの異教関連の品が置かれていることも少なくない。
これは世帯人員の一人だけが信徒というケースでよく見られる。
（家族全員が信徒である世帯は長崎県を除き、稀）
基督教には檀家制度に相当するものが存在しない。世帯単位ではなく個人単位で信徒数がカウントされる。
一人暮らしの人が洗礼を受けて教会員になる場合、
教義上、偶像を置けなくなる。
教会によって対応が違ってくると思うが、
とある教会では、信徒たちによって仏壇が破壊されたという話を聞いたことがある。
仏壇などが設置されている場合、売却または廃棄処分することになる。
檀家制度に加入していた場合、脱会しなければならないが、
これは単に退会するだけでなく、寺との関係、特に金銭的な関係を断つことをも意味する。
［６］について。
基督教の葬儀費用は仏教の３０％程度とかなり安い。
葬儀費用を節約する目的で洗礼を受ける人も僅かながらいるようだが、
そういう目的で入籍するのはやめたほうがよい。
戒名料に相当する項目を支払う必要がないため、葬儀費用自体は安いものの、
葬儀が発生するまでの間、事あるごとに献金を捧げなければならず、
金銭的に損をすることが多い。
（そもそも金銭的に得をする目的で洗礼を受けるべきではない。商用目的で加入するのは論外）
当たり前のことだが、葬儀発生時に金銭面で得をするのは故人ではなく、遺族である。
葬儀を終えたあと、遺骨が骨壺に入れられ、墓に収められる。
仏教とは違い、家門単位ではなく、教会単位で他の信徒の骨壺と一緒に収められる。
特に遺族の中でクリスチャンが一人もいない場合、
長期に渡って遺骨の問題を抱えることもあり得る。
洗礼を受け、教会員になるのはそう簡単なことではないことがお解り頂けると思う。
教会員の在籍期間に有効期限は存在しない。基本的に終生どこかの教会に所属し、関わっていくことになる。
じゃあ、入籍の申し出をすればどこでも好きな教会に所属できるかというと、そうでもないのである。
申請をしても断られる場合があるからだ。
特定の教会に所属した後、何らかの理由で他の場所に移籍する人もいる。
ここで重要なことを申しておこう。
他の系統（仏教など）に移ることは非常に難しく、ほぼ不可能と考えてよい。
同一系統であっても教派が異なる場合、（特に、プロテスタントからカトリックに移籍する場合など）
移籍は一応可能ではあるが、手続きが面倒で、体力的・時間的・精神的に大変である。
最後に私のほうから一言祈りを捧げる。
恵深い天の父なる神様。
洗礼を受けてからもう９年が経ちましたが、
これまでに神様の御心から離れることも多々ありました。
信徒として全然ふさわしくない生活を送ってきたことを思い起こします。
もし神様との出会いがなかったら、今頃私はどうなっていたか想像もつきません。
私はここにきてようやく、一般人に向けて解説記事を書けるようになりました。
これも神様の支えと励ましによるものと信じております。感謝いたします。
この世界にはまだ神様のことを知らない人が多くいますが、
そのような人たちにも憐みと祝福がありますように。
尊いイエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン。
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